デッサンについて_岡山市にある美大受験の不思議予備校_画塾なのガルル

【今日はデッサンについて】
少し世界的な視点でお話をしてみたいと思います。


 日本で美術大学を目指している方なら誰もが学んでいるデッサン。
 ガルルでも入試のためにみなさんが日々練習しているデッサン。

ですが、世界に目を向けると美術大学の入試でデッサンの試験がある国は、もはやほとんどありません。なぜなら、デッサンは表現のための1つの基礎技術であって、表現者としての能力やセンスを必ずしも表している訳ではないからです。ひと昔前ならデッサン力は表現力として大きな位置付けでしたが、現代のクリエイティブな現場においてのプライオリティーは高いとはいえないのです。

 ですから、世界ランキング上位の美術大学ではデッサンの試験はほとんどありません。近年日本人のクリエイターで世界から注目を集める人たちは、日本の美大出身者でないことが多いのも、日本の美大入試のあり方を考え直す1つの現実だとも思います。

 日本の美術大学で動きがないかというとそうではなく、ここ数年、国際的な感覚を持つ先生方が多くの美大で改革の準備を進めておられます。僕の母校、武蔵野美術大学でも国際派の学長さんが就任したことによって大きな変革があると思っていますし、様々な動きの情報が入ってきていますので、これから日本の美大改革に期待を寄せているところです。

 
 少しお話が硬い方へ飛びましたので、中高校生のみなさんにもわかりやすい方へ戻します。


「石膏デッサン」
 最近では日本の美大入試でも石膏デッサンの出題が減ってきました。ヨーロッパの美大では修復科(いわゆる古い建築物の修復を学ぶ学科)の生徒さんなどは古い像を修復するための技術として石膏デッサンを学んだりもします。僕が学生の頃ヨーロッパでなぜ日本の美大生はみな石膏デッサンが上手いのか?と冗談で聞かれたことがあります。

 ヨーロッパの人からすれば、外国人が仏像を一生懸命デッサンしているようなもので、なぜ?という疑問は当然です。石膏デッサンは古の西欧の美意識を知るという点において意味がない訳ではありませんが、芸術家を育てるのか?職人を育てるのか?その学生が目指していることに本当に必要なことなのか?とゼロベースで考え直しても良いかとは思います。
 もし、日本の学生さんが石膏デッサンを外国の芸術家やデザイナーさんに誇らしげに見せて「日本の学校で芸術を学んでいます!」っていうところを想像するなら、僕は正直笑えないです。



「世界の美術大学の入試について」
 ほとんどの場合、作品をプロフェッサー(大学の先生)に見ていただきながら、作品についての質問や、この大学で何を学びたいか?将来どんなことがしたいのか?芸術やデザインについてどう考えているのか?などなど1時間くらいお話をします。そこで気に入ってもらえたら入学許可がでます。
 
 判断する側としては、これだけしっかりと作品群を見せてもらいながら話をすれば、その人の能力やセンス、向上心やひととなりは分かるものです。単一的な実技試験や学科の試験を課すよりもはるかに正確な人選びはできます。世界の一流と呼ばれる美術大学では、この方法が最も合理的だと判断している訳です。

 もちろん、日本の美術大学が海外の美大のように実技試験を課さなくなり、面接を中心とした推薦入試へと変わっていけば、我々のような美大受験予備校の多くは廃業してしまうでしょう。でもそれは時代の流れです。そしてそれは日本の美術界、デザイン界の将来を担う若者たちにとって、きっと良い未来へとつながっていくことでしょう。

 もちろん、そうなった時には、グランガルルでは10年20年50年後の未来を見据えて、様々な表現のあり方を教えていくつもりです。デッサン習得のためにとても多くの時間を割かなければならない高校生たちに、もっと違うアプローチで様々な表現の幅を教えてみたいですね。
 そして大学の教授をうならせたり、また先進すぎて理解できないけど未来を予感させるような中高校生たちを育てるのが、今の僕の夢です。





ps.今年ガルルには中国人の生徒さん2名と、アメリカ人の生徒さんが来られています。もっともっといろんな国籍の方が来られるといいなあ。




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