プロダクトデザイナーのよもやま話

今日はグランガルルの主任講師でデザイナーのよもやま話


僕はもともとシャープという家電メーカーで、家電製品をデザインするところからデザイナー人生をスタートしました。その電気メーカーで最初の新入社員研修で習ったときに、少しびっくりしたことを綴ってみたいと思います。数字は近年のものに改めて記載しています。


皆さんは、家電製品が1日に何個売れているか?ということを考えたことがあるでしょうか?
日本というこの小さな島国で、テレビが1日に何台売れるのだろう? 冷蔵庫が何台売れるのかな?って。。一般の人はあまり考えないですよね。でもプロダクトデザイナーの僕らは開発部門の中枢にいるので、様々な製品の販売戦略やロット(生産数)など様々な数字を知っていなければならないのです。ロットによって商品にかけられるコストも違ってきますので、おのずとデザインも変わってきます。


門題です!

「冷蔵庫は1日平均日本で何台売れるでしょう?」
1番130台 2番1300台 3番13000台
答えは3番! 1日におよそ13000台。


「テレビは1日に何台売れるでしょう?」
答えは17000台
わずか1日にですよ。毎日毎日17000台もテレビが売れていく。


ちなみに洗濯機は1日14500台、エアコンは22000台、自転車は25000台。。。

携帯電話に至っては1日あたり10万台、傘は1日あたり35万本と天文学的な消費量。
これはすべて日本というこの小さな島国での出来事なのですね。



プロダクトデザイナーが設計した商品は、小ロットでも5000台、普通は2万台から数十万台くらいは量産されます。もしデザイナーが使い勝手の悪いものをデザインしたらどうなるでしょう? 数万から数十万人という消費者の方に大変な思いをさせてしまいます。身の回りに使いにくかったり、操作が分かりにくいものはありませんか? きっといっぱい思い当たることでしょう。それは設計したデザイナーの責任なのです。使う人が苦労するようなものを作ってはいけないし、すぐに買い換えたくなるような使い捨てのデザインをしてもいけないと思います。メーカーは早いサイクルで商品を買い換えてもらうことを望みますが、こだわりのある商品を少し高くても買ってもらい、それを少しでも長く使ってもらわなければ地球は長くは持たないかもしれませんよ。


 ちょっと前になりますが岡山の県北でのイベントのこと。
 僕は子供たちのキャンプにて、竹を使って楽器を作るというワークショップの指導をさせていただく機会がありました。僕が参加者の子供たちと一緒につくった竹楽器をつかって、夜にゲストの辰野さんという方と一緒に演奏をするという企画でした。辰野さんは、アウトドアブランドのモンベルという会社の社長さんで大変ユニークな方でした。イベント終了後に手品を見せてもらって、手品好きの僕は大興奮しました。なんせ辰野さんメチャメチャ上手いんですよ。
 
 ちょっと話が脱線しましたが、、その時辰野さんがおっしゃっていたことに「このまま人類が発展していったら最後は破滅しかない。」そんな内容のことをお知り合いの大学教授と話された。と。。
「発展すると破滅する」ポジティブな言葉がネガティブな結論に向かう。なんとも印象的なことばでした。

 ひらたく言えば「ひたすら消費すれば、当然最後は破滅しますよね」という有限の地球上で、このぺースで消費すればそんなに長くは持たないですよ。ってことなのですが、なんとも印象に残る上手い言葉だと思いました。

 僕らクリエイターは、消費を作る最前線に配置されます。
だからこそ、未来を担うクリエイターのみなさんには、ほんの少し地球規模のことにも思いを馳せて、よくよく考えてデザインしてもらいたいのです。そんなことを思いながら指導の中に、時おり雑学としてさまざまなお話しさせてもらうのでした。

















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